PoE / PoE+ / PoE++



 ◆ PoEとは

 PoE(Power over Ethernet)とは、カテゴリ5以上の
UTPケーブル上で電力を供給する技術のことです。
 電力供給が困難な場所に設置された無線LANアクセスポイント、IP電話、Webカメラなどへの電源供給で
 よく使用される技術です。例えば、IP電話へのPoEの給電によって、下図の3つのメリットが生まれます。

     


PoEコンポーネント 説明
 PSE( Power Sourcing Equipment )  給電デバイス。PoEスイッチ、パワーインジェクタ
 PD( Power Device )  受電デバイス。IP電話、無線アクセスポイント
 イーサネットLANケーブル  クラス1〜3(カテゴリ5以上)、クラス4以上(カテゴリ5e以上)のLANケーブル


 
◆ PoE技術の標準化
規格 通称 策定時期 最大供給電力 クラス
IEEE802.3af PoE 2003年 15.4W 1〜3
IEEE802.3at PoE+ 2009年 30W 4
IEEE802.3bt PoE++ 2018年 90W 5〜8


 ◆ PoE規格

 PoEの給電仕様は以下であり、例えばクラス3のIP電話機に電源供給したい場合には、1ポートで15.4Wの
 電力供給が可能なPoEスイッチを選定する必要があります。また、IEEE802.11ac対応の無線APの場合には、
 1ポートで30.0Wの電力供給が可能なPoEスイッチを選定する必要があります。このように、PoEスイッチ
 を選定する場合には、受電デバイスがどのくらいの電力が必要となるのかを事前に確認する必要があります。

 ◆ PoE給電仕様
クラス 給電機器(PSE)の電力 規格 通称
0 15.4W IEEE802.3af デフォルト PoE
1 4.0W タイプ1 PoE
2 7.0W タイプ1 PoE
3 15.4W タイプ1 PoE
4 30.0W IEEE802.3at タイプ2 PoE+
5 45.0W IEEE802.3bt タイプ3 PoE++
6 60.0W タイプ3 PoE++
7 75.0W タイプ4 PoE++
8 90W-99W タイプ4 PoE++


 IEEE802.3af、802.3at、802.3btの規格では、PoEスイッチは受電デバイスかどうかをUTPケーブル上で
 電圧の供給や抵抗の測定によって判断します。受電デバイスは電力クラスの情報をPoEスイッチに提供して
 この情報に基づいてPoEスイッチは、受電デバイスに対して適切な電力を割り当てられるようになります。



 ◆ PoEの動作 - PoEポリシング:IEEE 802.3af power classification override features

 PoEポリシングでは、
障害が発生しているインライン受電デバイスからCatalystスイッチを保護します。
 障害が発生している受電デバイスは設計上より多くの電流を引き込む時があります。

 受電デバイスがスイッチポートに接続されると、ラインカードは接続された受電デバイスのタイプを検出し
 適切な電力量を割り当てます。そして、PoEポリシングのしきい値を割り当てられた電力より5%多い値に
 設定します。受電デバイスが、Catalystのポリシングしきい値で指定されているもより多くの電力を1秒を
 越えて消費すると、
ポートはシャットダウンしてエラーディセーブル(Errdisable)になります。または、
 設定したPoEポリシング アクションに応じ、メッセージがコンソールに保存されてポートが再起動します。



 ◆ PoEの設定 - Catalystスイッチ

 PoE対応のCatalystでは、デフォルトで電力供給が出来る状態になっていることから、PoEスイッチのための
 
設定は特に必要ありません。また、PoEスイッチではポートごとに電力供給の有効化と無効化を設定できます。
 PoEスイッチは、ポートに接続したデバイスが電力を必要としているかどうかを判断して、電力供給が必要な
 場合だけ電力供給を行うことから、電力供給が必要ないPCなどがPoEスイッチに問題なく接続することが可能。

 
◆ PoEの設定
 (config)# interface interface-id
 (config-if)#
power inline auto [ max milli-watts ] | never | static [ max milli-watts ]

コマンド引数 説明
auto

 ポートが受電装置を自動検出して電力供給するようにするための設定。デフォルト値。
 (config-if)#
power inline auto ← デフォルトの設定であるためコンフィグ上は非表示。

max

 オプション値。最大ワット数を指定。

never

 受電デバイスの検出や電力供給を無効化する設定。この設定をするとただのポートとなる。
 (config-if)#
power inline never

static  インターフェースを auto より高いプライオリティに設定。


 提供可能な電力量、現在の使用率、ポートごとの電力消費状況などは
show power inline で確認できます。



Catalystスイッチ - 技術解説

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