Catalyst QoS - Catalyst 3560X / 3750X



 ◆ Catalyst QoSの概要

 QoSを有効にすることで、音声などの特定のトラフィックをデータなどのほかのトラフィックよりも優先的に
 処理したり、特定のトラフィックのトラフィック量を制限したりできます。一方、QoSを有効にしない場合
 Catalystスイッチはパケットの内容やサイズに関係なく、各パケットにベストエフォートで処理していきます。
 信頼性、遅延限度、スループットなどの保証はなく、受信したパケットから順番に何も考えずに送信します。



 ◆ Catalyst QoSの優先度情報

 QoSはIETFの新しい規格であるDiffServアーキテクチャに基づいて実装されます。このアーキテクチャでは
 ネットワークに入るときに各パケットを分類することが規定されています。その分類情報はレイヤ3パケット
 またはレイヤ2フレームで伝達することができます。レイヤ2の場合は「CoS」、レイヤ3では「Precedence」
 または「DSCP」値を伝えることによりその分類情報を伝達できます。以下はそのフレームとパケットの説明。

レイヤ2とレイヤ3の分類情報 ( 優先度情報 )
Layer2フレーム


 CoS値は802.1qフレームまたはISLフレームにより伝えられます。つまりCoS値はトランクポートでのみ
 伝えられアクセスポートでは伝えられません。ISLフレームヘッダーには下位3ビットでCoS値を伝達する
 1バイトのユーザフィールドがあります。802.1qフレームヘッダには、2バイトのタグ制御情報フィールド
 があり、上位3ビットでCoS値が伝達されます。CoS値の範囲は 0 ( low priority ) 〜 7 ( high priority ) 。

Layer3パケット


 Precedence値またはDSCP値はIPパケットにより伝えられます。IPパケットには8ビットのToSフィールド
 があり、Precendenceの場合はそのうちの3ビットを使用します。DSCP値の場合はそのうちの6ビットを
 使用します。Precedence値とDSCP値は互換性があるのでQoSではどちらの値で使用することが可能。
 Precedence値の範囲は0〜7、DSCP値の範囲は0〜63。数値が大きくなるほど優先度が高くなります。


 ※ CoS値、Precedence値、DSCP値はエンドホストで割り当てるか、または伝送中にスイッチまたはルータで割り当てられます。
 
※ Catalystではこの優先度情報は重要です。なぜならこの値に基づいてキューイングとスケジューリングが行われるからです。



      



    



    




 ◆ Catalyst QoSの基本モデル - Catalyst3560X/Catalyst3750X

 CatalystのQoSを本当に理解している人は、QoS設計を行う上で最初にこの基本モデルを参照するはずです。
 この情報こそがCatalyst QoSにおける要であると言えます。また、Catalystの機種によりこのQoSモデルは
 異なる場合もあるので必ず確認する必要があります。下図は、Catalyst3560X/Catalyst3750Xのモデルです。


  

QoS基本モデルの各項目
分類
 パケットを検査してACLまたは設定に基づいてQoSラベルを判別する。

ポリシング
 着信トラフィックレートと設定済みのポリサーを比較してパケットが適合か不適合かを判別

マーキング


 パケットが適合しているか不適合であるか設定されたパラメータに基づいているかどうかを
 基準にして、パケットを通過させるか、マークダウンするか、または廃棄するかを判別する。
 また、この設定に従ってDSCPおよびCoSマーキングが行われるか、または変更される。

入力キューイング
スケジューリング


 QoSラベルに基づいてパケットを格納する入力キューを判別する。
 次に、設定されたウェイトに従い入力キュー内のパケット転送を行う。

出力キューイング
スケジューリング


 QoSラベルに基づいてパケットを格納する出力キューを判別する。
 次に、設定されたウェイトに従い出力キュー内のパケット転送を行う。


 ※ QoSラベルを使用するということは、キューに格納する際に「CoS値」「DSCP値」のどちらの値でも使用できます。
 ※ mls qos設定によりQoS機能を有効にすると必ず「分類」が行われますが「ポリシング」と「マーキング」はコンフィグ設定次第。



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