Cisco ACI



 ◆ Cisco ACIとは

 Cisco ACI(Cisco Application Centric Infrastructure)は、
Ciscoが提供する次世代のSDN製品です。
 一般的に SDN=OpenFlow という傾向がありますが、SDNを実現するためのアプローチはそれだけでは
 ありません。今回はCisco Systemsが推進しているSDNアプローチであるCisco ACIを簡単に解説します。

 Cisco ACIでは、ネットワークの設定や機能を抽象化(プール化)し、それぞれの設定値を組み合わせた
 プロファイルを作成します。次に、その設定プロファイルをCisco ACIにおけるSDNコントローラである
 
APIC(Application Policy Infrastructure Controller)から、ネットワーク機器へ適用することにより
 その設定プロファイルの設定内容が反映されます。


   


 APICからプロファイルを適用されるネットワーク機器は、具体的にNexus9000シリーズなどが該当します。
 Cisco ACIでは、Nexus9000シリーズをベースとしてACIファブリック(物理ネットワーク)を形成します。
 ACIファブリックは「
Spine」と「Leaf」により形成されます。Leafには、既存の物理ネットワーク機器、
 WANルータ、Firewall、分散装置などのL4〜L7デバイス、サーバ機器( 物理・仮想 )などが接続します。
 Spineは、Leaf間を接続するためのバックプレーンの役割を担います。

 ※ このSpine-and-Leafアーキテクチャでは、基本的に
Spine ⇔ Leaf間を直接フルメッシュで接続します。


 ◆ Cisco ACIの構成要素

 Cisco ACIファブリックは、専用コントローラである「APIC」と「Nexus9000シリーズ」から構成されます。

Cisco ACI 構成要素 説明
Cisco APIC


 インフラの統合管理を実現するコントローラであり、物理アプライアンスとして提供される。
 ACIファブリックの規模に応じてクラスタの数(最小構成は3台)を拡張できる。
 すべてのAPICがダウンしてもNexus9000が自律して動作するため、NW停止は発生しない。

Cisco Nexus9000


 Nexus9000シリーズでは、OSの入れ替えにより2つの動作モードを使い分けることができる。
 1つはスタンドアロンとして動作するNX-OSモード、もう1つはAPICと組み合わせて統合管理
 を行うACIモード。ACIモードでは「Spine」と「Leaf」の2つの役割がある。


 なお、これまでファブリックとACIファブリックの違いとして、以下のような点が挙げられます。

 ・ 
アプリケーション特性に合せたポリシーに基づき、APICからACIファブリック全体のNexusの統合管理
 ・ 
他ベンダーのFirewallやLB製品などに対応して、ACIファブリック内の自在なNWサービスの調整を実現
 ・ 
APICにRESTベースのNorthbound APIが備わっていることから、ユーザが作成したスクリプトによる
   自動化、Open StackやCisco UCS Directorなどのオーケストレーション製品群との連携することが可能



 ◆ Cisco ACI - Northbound API

 Cisco ACIではNorthbound APIにおいて様々なAPIをサポートしており、色々なベンダー製品と連携できます。
 Northbound APIでは、
UCS DirectorOpenStackVMware vCloud DirectorWindows Azure Pack
 などからCisco ACIを制御して、Southbound APIでCisco ACIと様々なHardware、Softwareと連携できます。


 ◆ Cisco ACI - Southbound API

 OpenFlowのSDNソリューションでは、Southboud APIに「OpenFlowプロトコル」を使用されていました。
 Cisco ACIのSDNソリューションでは、Southboud APIに「
OpFlexプロトコル」が使用されます。OpFlexは
 APICと
様々なベンダーの「仮想/物理スイッチ、L4/L7デバイス」のインターフェースとなるプロトコルです。
 OpFlexではOpenFlowとは異なり、簡単なポリシーを定義するだけで動的なプロビジョニングが実現できます。


     


 ◆ Cisco ACI - APICの設定画面、定義要素

 Cisco ACIの
アプリケーション ネットワーク プロファイルで、アプリケーションポリシーを定義する際に、
 その構成要素の何と何とが通信するのかの関係性でネットワーク接続を構築できます。その関係性には次の
 
EPG(Endpoint Group)とContractの要素を使用して表現します。※ 下図は実際のAPICの設定画面です。


 


定義要素 上図における説明
EPG

 上図の青い箱が該当。同じポリシーに属するサーバ群(物理・仮想)を1つのグループにまとめたもの。

Contract

 上図の白い箱が該当。EPG同士を接続する時の接続サービスを統制するポリシーの定義のセット。


 Cisco ACIでは、このアプリケーション ネットワーク プロファイルにおいてEPGの間に「ACL、QoS」の実装、
 EPGの間に「対応するアプライアンス製品の機能( Firewall、ADC )」を配置してネットワークを作成します。



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