Wireless LAN - Site Survey



 ◆ 無線LAN - サイトサーベイとは

 無線LANにおけるサイトサーベイとは、アクセスポイント設置前の現在の電波状況の調査とアクセスポイント
 設置後の現在の電波状況の調査のことです。つまり、AP設置前に外来波がどのような状況なのかを確認して
 AP設置後に、新規導入したAPが机上で設計した通りの電波状況なのかを確認する調査です。以上の内容から
 無線LANのサイトサーベイは設置前と設置後の
2回調査することが望ましいのです。ただし予算状況に応じて、
 AP設置前あるいはAP設置後だけにする場合もあります。以下では、サイトサーベイ関連の用語を解説します。



 ◆ 無線LAN - 外来波とは

 外来波とは
外からくる無線電波のことです。サイトサーベイでは、APを設置し電波を届かせる範囲(セル)に
 この外来波がきていないかどうかを確認します。IEEE802.11b/g/設計、または IEEE802.11a/n設計において
 外来波になり得るのは以下の通りです。特に電子レンジやコードレス電話などはIEEE802.11のCSMA/CA方式
 なんて理解できずに、一方的に圧倒的な電波を出し続けるので、電子レンジ等が一方的に電波を出している時は
 IEEE802.11準拠のWLAN端末はその電波を受信している間は自分のデータを送信できません。(外来波の干渉)

外来波になりうるもの
802.11b/g/n 設計  電子レンジ、コードレス電話、Bluetooth、外部からのAPの電波 (隣接ビルやホットスポットのAPなど)
802.11a/n 設計  気象レーダ(W53)、外部からのAPの電波 ( 隣接ビルやホットスポットのAPなど )

 サイトサーベイによりW53の電波を検知した場合、アクセスポイントや無線LANスイッチ等ではW53を無効
 にすることが推奨。なぜなら、アクセスポイントが
W53の電波を外部から受信した場合、自動的に周波数を
 (チャネル)を変更してしまうので無線LAN通信が不安定になるから。この干渉波を検出した場合に自動的に
 周波数を変更する仕組を
DFSと言います。アクセスポイントにDFSとTPC機能の搭載は義務付けられています。

 
DFS(Dynamic Frequency Selection): 5GHz帯のW53/W56の電波を受信した場合、動的に周波数(チャネル)を変更する仕組み。
 TPC(Transmitter Power Control): 干渉を回避するために無線の出力を低減させる仕組み。


 ◆ 無線LAN - Radio Sensitivity ( 感度 ) とは

 WLAN端末にはデータレートごとに必要なSignal Strength(信号強度)が決まっており感度の値に基づきます。
 感度とは、どれだけ微弱な電波を受信できるかを示す無線機器の定格値のこと。以下の「データレートと感度」
 の表はCisco社製の無線LAN機器の場合の値となりますが、その他のメーカの製品でもだいたい同じくらいの値と
 なるので目安として役立ちます。各メーカ製品の受信感度とデータレートの関係表は各メーカで公開しています。

IEEE802.11g IEEE802.11a
データレート 感度 データレート 感度
54 Mbps -71 dBm 54 Mbps -65 dBm
48 Mbps -75 dBm 48 Mbps -66 dBm
36 Mbps -80 dBm 36 Mbps -70 dBm
24 Mbps -84 dBm 24 Mbps -74 dBm
18 Mbps -86 dBm 18 Mbps -77 dBm
12 Mbps -88 dBm 12 Mbps -79 dBm
9 Mbps -86 dBm 9 Mbps -81 dBm
11 Mbps -92 dBm - -
5.5 Mbps -92 dBm 6 Mbps -82 dBm
2 Mbps -93 dBm - -
1 Mbps -94 dBm - -


 表の通り、受信感度が強いほどデータレートが高くなると分かります。また、サイトサーベイによりある測定
 場所での受信感度が分かれば、その測定場所でのデータレートが分かることになります。例えばIEEE802.11g
 設計において、全てのエリアで理論上54Mbpsの高速通信を実現する場合、全てのエリアで受信感度が-71dBM
 以上(この値はAPの機種に依存する)となるようにAPを配置する無線LANシステムを構築する必要があります。

 Cisco APではデータレートごとに有効/無効の設定が可能です。例えば全てのデータレートを有効にした場合
 関係表での802.11gのAPとWLAN端末では-94 dBm以上の値の外来波を受信すると
ノイズとして検出します。

 現在の電波の受信信号強度(
RSSI : Received Signal Strength Indicator)は、無線LANのフリーソフトの
 Network StumberやinSSIDerなどでも簡単に分かります。こちらで⇒ inSSIDerのインストール方法を解説。

 


 
◇ 参考情報 : RSSI is the amplitude level of the wireless networkas seen by a computers wireless card.
 inSSIDer represents RSSI in dBms. The following will help you in determining what is a good RSSI and a poor RSSI :

Quality Excellent Good Fair Poor
dBm -30 〜 -61 -63 〜 -73 -75 〜 -85 -87 〜 -97


 
※ 実際の電波設計では、無線カバーエリアの全てが「Excellent」であることが望ましい。「Good」がぎりぎりの許容品質です。
 ※ RSSIが良ければ全て良しというわけではなく、SNRが20dB以上であることが重要です。10dB未満であれば品質に問題あり!


 ◆ 無線LAN - SNR ( 信号対雑音比 ) とは

 SNR (Signal-to-Noise Ratio) は信号電力と雑音電力の比のことです。SNRはSN比やS/Nなどとも呼ばれます。
 分かりやすく説明すると、SNRは電波強度からノイズ強度を引いたものであり電波の品質はこの値で判断します。

無線用語 説明
Signal ( 電波強度 ) 受信する電波の強度。RSSIとも呼ばれる
Noise ( ノイズ強度 ) 受信するノイズの強度。
SNR ( SN比 ) 電波強度からノイズ強度を引いた値。電波の品質を示す値。


 ( 電波強度 - ノイズ強度 ) = SNR ⇒ Current Signal Strength(dBm)- Current Noise Level(dBm)= SNR(dB)

 ということは、電波強度が「-40dBm」でノイズ強度が「-90dBM」なら、(-40) - (-90) = 50 と分かります。
 SNRが50dBというのは良い方です。SNRは値が大きければ大きいほど電波品質が良い、と考えて基本的にOK。
 8021.11aにおけるデータレートとSNR(最低、推奨)の関係表を見てましょう。こちらで書かれているとおり
 SNRが35dBから50dBが理想的ですが、
SNRが10dBに満たない場合、WLAN導入には適さない環境といえます。

 
IEEE802.11a
データレート 最低SNR 推奨SNR
54 Mbps ( 64-QAM 3/4) 25 dB 35 dB
48 Mbps ( 64-QAM 2/3) 24 dB 34 dB
36 Mbps ( 16-QAM 3/4) 20 dB 30 dB
24 Mbps ( 16-QAM 1/2) 16 dB 26 dB
18 Mbps ( QPSK 3/4 ) 13 dB 23 dB
12 Mbps ( QPSK 1/2 ) 11 dB 21 dB
9 Mbps ( BPSK 3/4 ) 9 dB 19 dB
6 Mbps ( BPSK 1/2 ) 8 dB 18 dB


 以上の内容から分かる通り無線LAN環境の構築で重要なことは2つあります。1つは求められるデータレートに
 対する感度以上の
電波強度を受信できていること。もう1つは、求められるデータレートに対するSNR値以上の
 
電波品質の環境であるということ。この2つが無線LANシステムを構築する上で、最重要の確認事項となります。

 サイトサーベイをするためには上記の知識以外
 にも色々な知識が必要になります。また、電波
 測定においてはinSSIDerなどではなく、やはり
 Cisco Spectrum Expertの電波測定が望ましい。

 無線IP電話を導入する場合には、かなり緻密な
 セルデザインが求められることからも、サイト
 サーベイはネットワークエンジニアだけで行う
 のではなくて、電波調査の専門家に依頼して
 実施してもらうことが推奨です。例えばb/gより
 aの方が電波が飛びにくい(壁超えが弱い)など
 色々な豆知識をこの種の専門家は知っています。


 ◆ サイトサーベイは専門家に依頼しよう

 中途半端な知識と経験で自分自身でサイトサーベイを実施した結果に基づき、アクセスポイントの本設置を行い
 想定通りに無線LAN通信を行えないと、本当に後で自分が大変なことになります。私はネットワークエンジニア
 として、無線LANシステムの導入案件は数十はこなしているので、 各材質における電波の透過性、電波空間の
 範囲、壁ノックによる材質の特定、無線電波による透過性について熟知しているとはいえ、大規模な無線LANや
 無線IP電話を導入する無線案件だけは、自身で絶対に行わず、パートナー企業の専門部署に必ず依頼しています。



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