Integrated IS-IS : NSAP address



 ◆ NSAP(Network Service Access Point)アドレスとは

 Integrated IS-ISでは、IPアドレスを端末の識別用のアドレスとして使用しますが、ルーティング自体は
 OSIのCLNSのアドレス体系である
NSAPというアドレスを使用します。 Integrated IS-ISである事から
 「IPが使える、IPだけで良い」というわけではなく、基本的なルーティング方式はIS-ISであることから、
 各ルータにはNSAPアドレスを設定する必要があります。Integrated IS-ISではNSAPアドレスでルータを
 識別したり、各ルータがトポロジーテーブルを作成することができます。




 ◆ NSAPアドレスの構成

 NSAPアドレスは、
エリアID、システムID、NSELの大きく3つによって構成されます。NSAPアドレスの
 フォーマットは次の通りです。


    



 ・ 
AFI(Authority and Format Identifier)
 グローバルIPアドレスのように、ISPや企業ごとに決められたアドレスを使用する。※1

 ・ 
IDI(Initial Domain Identifier)
 ドメインを識別する情報。

 ・ 
HO-DSP(High Order Domain Specific Part)
 ドメインをエリア分割した場合の識別に使用する情報

 ・ 
System ID
 デバイスを識別する情報。ルータのMACアドレスまたはIPv4アドレスを使用する。

 ・ 
NSEL(NSAP Selector)
 上位プロトコルを識別するために使用する情報。N-selectorとも呼ばれる。※2

 ※1 AFIに 0x
49 を指定した場合、プライベートアドレスであることを表している。
 ※2 NSELはNSAPデバイス自体を示す 0x
00 を通常は使用する。


 ◆ NSAPアドレスの割り当て

 NSAPアドレスは16進数表記でありますが、区切りにはコロン(:)ではなくドット( . )を使用します。


   



 49.0001.1111.2222.3333.00 というNSAPアドレスとなりますが、以下の意味となります。エリアIDは
 「AFI」と「IDI、HO-DSP」の間を( . )で区切る表記となります。

 ・ 49 ⇒ AFI。プライベートアドレスであることを示す。
 ・ 0001 ⇒ IDIとHO-DSP。
 ・ 1111.2222.3333 ⇒ System ID。
 ・ 00 ⇒ NSEL。NSAPデバイスそのものを示す。


 NSAPアドレッシングで、以下のNSAPアドレスの割り当てルールを覚えておきましょう。
 ・ 同じエリア内では、ISとESは同じエリアIDを使用する。
 ・ 同じエリア内では、ISとESは異なるシステムIDを使用する。
 ・ エリアが異なる場合は、同じシステムIDを使用しても問題ない。
 ・ エリアごとに、異なるエリアIDを割り当てる。
 ・ バックボーンに所属するレベル2ルータのシステムIDは重複してはいけない。


 NSAPアドレスはインターフェースごとに異なる値を設定するのではなく
デバイスごとに1つ割り当てます
 Integrated IS-ISでは、OSPFのABRのように複数のエリアに所属することなく、
必ず1つのエリアに所属
 することになります。最後に、NSAPアドレスの割り当て例を見てみましょう。


   


 Integrated IS-ISでは、「CLNS」または「IP」または「その両方」をルーティングできるということを
 次回解説するIntegrated IS-ISのコンフィグ設定で理解することにしましょう。



 ◆ 参考:System IDにIPアドレスを使用する場合のConversion


   


 System IDにloopbackインターフェースのIPアドレスを使用する場合のConversionプロセス。



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