◆ 回線負荷分散装置を導入していない場合
下図のISP2側で障害が発生しても、DNSサーバのDNSラウンドロビンは通信相手の障害を検知する
ことができないので、クライアントPC1とPC2が下図のDNSリプライを受信するとします。その場合、
PC2は一時的に通信できない状態になります。この問題を解決するためには回線負荷分散装置が必要。

※ 以下の内容はDNSサーバの知識だけでなく高度なロードバランサの知識が必要となるので、初心者の方は理解できなくてもOK。
◆ 回線負荷分散装置とは
回線負荷分散装置は、DNSサーバ( Aレコードの応答可能なサーバ )としても動作する負荷分散装置のこと。
代表的な製品にはF5社Link Controller、Radware社のLinkProofなどがあります。例えばF5社のBIG-IPでは
専用装置以外にも、通常のロードバランサにライセンスを追加し回線負荷分散装置として動作させることも可。
下図はF5社のLink Controllerを使用した時の構成です。この構成を実現するためには外部DNSサーバの設定の
一部をLink Controllerに権限委譲する必要があります。DNSサーバのAレコード(www.example.com. IN A)
を以下ように回線負荷分散装置に設定(権限委譲)します。外部DNSサーバでは、以前設定していたAレコード
を以下のようにNSレコード(www.example.com. IN NS lcns1.example.com)にして、回線負荷分散装置の
FQDN( lcns1.example.com )を指定します。最後にそのFQDNのAレコードとして100.1.1.254のIPを指定。

Link ControllerはAレコードしか応答できない簡易DNSサーバなので「www.example.com. IN NS lcns..example.com」ではなく
「example.com. IN NS lcns.example.com」 のように指定すると example.com全体が委譲されてしまうので、上図のように指定。
下図のようにISP2の回線障害が発生した場合、回線障害を検知した回線負荷分散装置はDownしている側の
IPアドレス「200.1.1.5」をDNSリプライに含めなくなって、DNSリプライには「 100.1.1.5 」だけを送信
するようになります。その結果、すべてのクライアントPCは「 www.example.com = 100.1.1.5 」として
正常な通信を継続することができます。

|