◆ MPLS-TEとは
MPLS-TE( Traffic Engineering )では、LSPの経路を明示的に指定することで、LSPの経路を自由に
制御できます。このMPLS-TEにより、トラフィックの分散やLSP単位での各種QoS制御を実現できます。
各種QoS制御とは帯域確保、帯域制限、優先制御のこと。例えば、ルータに確保したい帯域を定義して
ルーティングテーブルに関係なく、到達ネットワークまで必要帯域を確保した最適経路を自動的に生成。
◆ MPLS-TEを実装するための2つの技術
MPLS-TEを実装するためには、MPLSの技術に加えて、大きく以下の2つの機能が必要となってきます。
必要機能 |
実装プロトコル |
説明 |
帯域の管理機能 |
OSPF-TE / IS-IS-TE |
例えば、OSPF-TEのLSA Type10で以下を周期的に伝達
・ 帯域情報(どのくらいの帯域が使用できるかの情報)
・ リンク属性(どのようなパスで使用されるのかの情報)
・ TEメトリック(リンクのメトリック値) |
経路の生成機能 |
RSVP-TE / CR-LDP |
例えば、RSVP-TEなどで以下の役割を担い情報伝達
・ LSPの帯域幅を予約
・ LSP経路の明示的な指定
・ その経路用のLabelの割り当てを行いTE-Tunnelを生成 |
Cisco機器で実装されるOSPF-TEとRSVP-TEについてもう少し詳しく以下で解説します。IS-IS拡張版の
IS-IS-TEも、Ciscoルータでも実装可能ですが、一般的にはOSFP-TEがCiscoルータで使用されています。
実装プロトコル |
説明 |
OSPF-TE |
リンクステートプロトコルの特性を生かして、LSA Type 10(Opaque LSA)で情報が伝達される。
※ 同一エリア内しかリンク情報は伝達されない。 |
RSVP-TE |
IPネットワークにおける帯域予約のためのRSVPにラベル配布機能を追加したのがRSVP-TE。
※ RSVP-TEはDoDモードです。
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◆ 2種類のラベル配布方式
ラベル配布方式には以下の2種類の方式があります。MPLS-TEで使用する方式はDoDモードとなります。
ラベル配布方式のモード |
プロトコル例 |
説明 |
DU (Downstream Unsolicited) |
LDP |
LSRからラベル値を決めて一方的に配布するモード
⇒ LSPの経路はIGPの最短経路に従う
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DoD (Downstream-on-Demand) |
RSVP-TE |
FECに対応するラベルを問い合わせた時にラベル値を配布するモード
⇒ LSPの経路はルーティングに関係なく明示的な指定、帯域幅の確保
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RSVP-TEのために実装されたRSVPオブジェクトは以下の通りです。
RSVPオブジェクト |
メッセージタイプ |
説明 |
Label Request Objetct |
RSVP PATHメッセージ |
ラベル割り当て要求 |
Label Object |
RSVP RESVメッセージ |
ラベル割り当て通知 |
Explicit Route Object(ERO) |
RSVP PATHメッセージ |
Head EndからTail EndまでのTEパスを明示的に連ねる |
Record Route Object(RRO) |
RSVP PATH/RESVメッセージ |
RSVPメッセージが通過したリンクを記録 |
Session Attribute Object |
RSVP PATHメッセージ |
パスのプライオリティ、名前、予約スタイルを通知 |
◆ RSVP-TE : LSPのセットアップ
RSVP-TEでは、RSVP PATHメッセージとRSVP RESVメッセージを使用してLSPをセットアップします。
先ず、RSVP SenderがEROを計算して、そのEROに基づいてPATHメッセージがRSVP Receiverに伝播。
次に、RSVP PATHメッセージに対する応答として、RSVP RESVメッセージを送りホップバイホップで
ラベル値をアサインします。
最後に、アサインしたラベル値をLFIBに登録することでSender ⇔ Receiver間でLSPトンネルが確立します。
R1からR3へのLSPを確立させたのと同様に、逆方向のR3からR1へのLSPを確立させる必要があります。
◆ OSPF-TE : 帯域幅の情報通知
MPLS-TEにおけるLSPでは、最適なパスを計算する上でIGPのリンクステートプロトコルよりも詳細な
情報が必要となってきます。具体的には以下の5つの情報が必要となります。これらの情報は拡張された
リンクステートプロトコルであるOSFP-TEなどによって、エリア内にフラッディングされるTEDBに格納
されて、LSPの最適パスの計算に使用されます。OSPF LSA Type10:RFC5250、OSPF-TE:RFC3630。
OSPF LSA Type10(Opaque area local)
のLSAが使用されて以下の情報をFlooding
@ Traffic Engineering metric
A Maximum bandwidth
B Maximum reservable bandwidth
C Unreserved bandwidth
D Administrative group
/ Resource Class Color
設計や設定手法についてはCCIE SP用の
コンテンツで別途作成し公開していきます。
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