OSPF - ABR / ASBR



 ◆ OSPF - エリアとは

 OSPFのエリアは「LSAを交換する範囲を示す論理グループ」のことです。つまり、「同じLSDBを持つOSPF
 ルータの論理グループ」とも言えます。各エリア内では詳細なリンクステート情報を保持しますが、エリアの
 分割により異なるエリアには集約した情報だけを通知すればよく、LSAのフラッディングを限定的にできます。
 その結果、OSPFルータの負荷が軽くなります。このエリアの範囲は管理者が手動で定義することができます。


     


 
エリア分割によるメリット 説明
LSDBサイズの縮小

 同一エリア内の全てのOSPFルータは、同じLSDBを保持するが、エリア分割によって
 OSPFルータは異なるエリアのLSAを保持しなくなる。結果、各ルータで保持している
 LSDBのサイズを小さくすることができるため、ルータのメモリ使用率を抑えられる。

SPF計算頻度の減少

 エリア内では詳細なリンクステート情報を保持するが、エリア分割により異なるエリア
 には、集約した情報だけを通知すれば良い。トポロジ変更時のLSAのフラッディングは
 同一エリア内に抑えられることからSPF計算頻度も減少し、CPUの使用率を抑制できる。

ルーティングテーブルのサイズ縮小

 エリアを分割することにより、異なるエリアへは複数のルート情報を経路集約して送る
 ことができるため、ルーティングテーブルのサイズを縮小しメモリ使用率を抑えられる。



 ◆ OSPF - シングルエリアとマルチエリア

 OSPFは自律システムとエリアで構成されます。OSPFでいう自律システムとは、共通のプロトコルを使用して
 経路情報をやりとりするルータのグループのことです。OSPFのエリアは、エリア 0 (
バックボーンエリア)に
 他のエリアが隣接する構成となります。エリア 0 を中心とした2階層の構成となります。なお、規模が小さい
 ネットワークではエリア 0 だけを使用する
シングルエリアとして構成しても問題はありませんが、ルータの
 負荷軽減のために大規模ネットワークの場合、複数のエリアを使用する
マルチエリアの構成が推奨となります。


       


 ※ OSPFのエリアの境界はルータです。ルータの各インターフェースごとに参加するエリアを指定します。


 ◆ OSPF - OSPFルータのタイプ

 OSPFのマルチエリアの構成では以下の4種類のタイプがあります。OSPFを稼働しているルータはいずれかの
 タイプに当てはまりますが1台のルータが複数のタイプに該当することもあります。例えばエリア0に配置した
 ルータの全てのインタフェースをエリア 0 に接続している場合、
内部ルータ兼バックボーンルータとなります。


   

OSPFルータのタイプ 説明
内部ルータ  内部ルータは、全てのインターフェースを同じエリアに接続しているルータ。
バックボーンルータ  バックボーンルータは、1つ以上のインターフェースをバックボーンエリアに接続しているルータ。
ABR
( Area Border Router)

 エリア境界ルータ。ABRは、異なるエリアを接続しているルータ。ABRではエリアごとの LSDB を
 保持しており、エリア間のルーティングを行う。ABRでは異なるエリアのリンクステート情報を集約
 して内部ルータに通知するので内部ルータのLSDBのサイズは縮小できる。集約ルートはABRで設定。

ASBR
( AS Boundary Router )

 AS境界ルータ。ASBRは、1つ以上のインターフェースが外部ASのルータと接続しているルータ。
 外部ASのルータとは、例えばRIPを稼働しているルータなどの非OSPFネットワークにいるルータ。
 ASBRにルート再配送をすることにより、OSPFネットワークと非OSPFネットワークとが通信できる。





   




 実際にOSPFを使用してネットワーク設計する場合
 一般的に
WANをエリア0(バックボーンエリア)に
 各拠点をエリア1、2、3 ・・というように割り当て
 していきます。そうすることで、全てのエリアは
 必ずエリア 0 (バックボーンエリア)と隣接します。

 また、そのネットワークセグメント設計においては
 各エリアのネットワークセグメントを/24として設計
 して、ABR(境界ルータ)上で /16 に経路集約して、
 異なるエリアにその拠点のネットワークを通知します。



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