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◆ DSCP(Differentiated Services Code Point)とは
DSCP(Differentiated Services Code Point)は、IP Precedenceと同じようにIPパケットに優先度を
付加するために使用します。IP Precedenceでは、IPヘッダのToSフィールド(8bit)のうち3bitを使用
していましたが、DSCPでは、diffservアーキテクチャで再定義されたToSフィールド(8bit)のうち6bit
をその値に使用します。

IP Precedenceは「0〜7の8段階」の優先度をつけられることに対して、DSCPでは「0〜63の64段階」の
優先度を定義することができることから、DSCPでは、より細かく優先度付けが行われます。DSCPによる
IPパケットへのマーキング方法(優先度付けの方法)は、IP Precedenceと同様に「ルートマップ」または
Class-basedパケットマーキングによって定義することができます。
Cisco(config-pmap-c) # set ip precedence ?
<0-7> Precedence value
Cisco(config-pmap-c) # set ip dscp ?
<0-63> DSCP value
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なお、diffservをサポートしていない機器をパケットが通過する時、設定されたDSフィールドは無視されるか
TOSフィールドとして解釈されます。DiffservではDSCPの先頭3ビットにマッピングされる IP Precedenceの
意味を保持することで IP precedence との下位互換性を維持できます。詳細はPHBの下表をご参考ください。
◆ PHBごとのDSCP値
DSCP値により処理を決めることをPHB(Per Hop Behavior)と言います。PHBごとのDSCP値は以下です。
| PHB |
DSCP値(2進数) |
DSCP値(10進数) |
| Default |
000 000 |
0 |
| CS ( Class Selector ) |
CS0 |
000 000 |
0 |
| CS1 |
001 000 |
8 |
| CS2 |
010 000 |
16 |
| CS3 |
011 000 |
24 |
| CS4 |
100 000 |
32 |
| CS5 |
101 000 |
40 |
| CS6 |
110 000 |
48 |
| CS7 |
111 000 |
56 |
| AF(Assured Forwarding) |
AF11 |
001 010 |
10 |
| AF12 |
001 100 |
12 |
| AF13 |
001 110 |
14 |
| AF21 |
010 010 |
18 |
| AF22 |
010 100 |
20 |
| AF23 |
010 110 |
22 |
| AF31 |
011 010 |
26 |
| AF32 |
011 100 |
28 |
| AF33 |
011 110 |
30 |
| AF41 |
100 010 |
34 |
| AF42 |
100 100 |
36 |
| AF43 |
100 110 |
38 |
| EF (Expedited Forwarding) |
101 110 |
46 |
上表のDefault、Class Selector、Assured Forwarding、Expedited Forwardingの意味は以下の通りです。
| PHBの各項目 |
説明 |
| Default |
ベストエフォートで転送する。優先しないPCのデータトラフィックに通常割り当てる。 |
| Class Selector |
IP Precedenceとの下位互換性。例えばDSCP値40であるCS5は、IP Precedence5と同じ意味。 |
| Assured Forwarding |
確認転送用のクラス。4段階の優先度(先頭3bit:001、010、011、100)。高い優先度が100。 |
| Expedited Forwarding |
緊急転送用のクラス。DSCP値46であるEFは、最優先処理する音声トラフィックに通常割り当てる。 |
下図を理解できれば、AF41は優先度が高く、破棄レベルが低い、AF43は優先度が高く、破棄レベルが高い
位置付けの値であることが分かります。EFについては、破棄レベルが高い110の値となっていますが、EFの
場合、最優先処理されて転送されていくので破棄は考慮されていません。つまり破棄されることはないです。

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