◆ AD値の設定変更 - ルーティングプロトコル共通の設定コマンド
アドミニストレーティブディスタンス値は、そのデフォルト値を設定変更できます。設定変更するためには
各ルーティングプロトコル上でdistanceコマンドでAD値を定義します。このコマンドは、特定の経路のみ
AD値を変更したい場合に主に使用されて、ルートタイプごとにAD値を変更したい場合には以降で紹介する
distance eigrp、distance ospf、distance bgpコマンドを使用して制御します。
◆ AD値の設定変更 - ルーティングプロトコル共通の設定コマンド
(config)# router protocol
(config-router)# distance ad-value address/mask [ acl ]
コマンド引数 |
説明 |
ad-value |
新しく適用するAD値(アドミニストレーティブディスタンス値)を 1〜255 の範囲で指定
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address/mask |
ルート情報の送信元のネイバールータのIPアドレスの指定 |
acl |
ACL番号の指定( ACLのpermitに合致したルートのみがAD値変更の対象となる ) |
◆ distanceコマンドの特徴
・ distanceコマンドで変更したAD値は、ローカルのみで有効であり、変更後のAD値は通知されません。
・ コマンド引数の「address/mask」で特定のネイバーIPアドレスを指定すると、ネイバールータごとに
受信するルート情報に対して異なるAD値を割り当られます。0.0.0.0 255.255.255.255 とすれば全部。
・ ルーティングプロトコルの境界ルータが冗長化された複数ある場合、その境界ルータで双方向にルート
再配布を行うと、適切に最適ルートを学習できない時があります。その際にAD値の調整が役立ちます。
◆ distanceコマンドの設定例
◆ 設定例 : OSPFルートの「192.168.1.0/24と192.168.2.0/24」のみ、R1のルーティングテーブルではAD値「130」とする設定
R1(config)# access-list 10 permit 192.168.1.0 0.0.0.255
R1(config)# access-list 10 permit 192.168.2.0 0.0.0.255
R1(config)# router ospf 1
R1(config-router)#distance 130 0.0.0.0 255.255.255.255 10
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◆ AD値の設定変更 - EIGRP
EIGRPでは、デフォルトで内部ルート(90)と外部ルート(170)で異なるディスタンス値を持っています。
ルートタイプごとに異なるAD値を適用したい場合は以下のコマンドで設定します。
◆ EIGRPのdistanceの設定
(config)# router eigrp as-number
(config-router)# distance eigrp internal-distance external-distance
コマンド引数 |
説明 |
internal-distance |
デフォルト値は90。内部ルート(D)のAD値を1〜255の範囲で指定。
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external-distance |
デフォルト値は170。外部ルート(D EX)のAD値を1〜255の範囲で指定。 |
◆ 設定例 : 内部ルート、外部ルートともにAD値を「90」とする設定
Cisco(config)# router eigrp 1
Cisco(config-router)#distance eigrp 90 90
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◆ AD値の設定変更 - OSPF
OSPFは内部ルート、外部ルートに関係なくAD値は全て110です。distance ospfコマンドを使用することで
エリア内ルート(O)、エリア間ルート(O IA)、外部ルート(O E1/E2)に、異なるAD値を適用できます。
◆ OSPFのdistanceの設定
(config)# router ospf process-id
(config-router)# distance ospf [ external distance | inter-area distance | intra-area distance ]
コマンド引数 |
説明 |
external distance |
デフォルト値は110。外部ルート( O E1/E2 )のAD値を1〜255の範囲で指定。
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inter-area distance |
デフォルト値は110。エリア間ルート( O IA )のAD値を1〜255の範囲で指定。 |
intra-area distance |
デフォルト値は110。エリア内ルート( O )のAD値を1〜255の範囲で指定。 |
◆ 設定例 : 外部ルートのみAD値を「115」とする設定
Cisco(config)# router ospf 1
Cisco(config-router)#distance ospf external 115
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◆ AD値の設定変更 - BGP
BGPでは、デフォルトでローカルルート(200)、内部ルート(200)、外部ルート(20)の異なるAD値を
持っています。ルートタイプごとに異なるAD値を適用したい場合は以下のコマンドで設定します。
◆ BGPのdistanceの設定
(config)# router bgp as-number
(config-router)# distance bgp external-distance internal-distance local-distance
コマンド引数 |
説明 |
external-distance |
デフォルト値は20。EBGPネイバーから学習した外部ルートのAD値を1〜255の範囲で指定。
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internal-distance |
デフォルト値は200。IBGPネイバーから学習した内部ルートのAD値を1〜255の範囲で指定 |
local-distance |
デフォルト値は200。ローカルルートのAD値を1〜255の範囲で指定。 |
◆ 設定例 : 外部ルートのAD値を「30」、内部ルートのAD値を「210」ローカルルートのAD値を「220」とする設定
Cisco(config)# router bgp 65000
Cisco(config-router)#distance bgp 30 210 220
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