OTV



 ◆ OTVとは

 OTV(Overlay Transport Virtualization)は拠点間の
EthernetトラフィックをIPにカプセル化することで
 IPをサポートする任意のネットワーク上で動作して、例えば複数のデータセンター間への
L2ネットワークの
 拡張を容易に実現
することができるネットワーク仮想化技術です。

 これは大規模ネットワークにおいてLayer2としてLANを拡張したい時に実装される技術であり、いわゆる
 企業ネットワークで一般的に利用するようなネットワーク仮想化技術ではありません。なおOTVの必要性を
 理解するためには、VMwareなどを設計した経験や
データセンターをまたいだ仮想マシンの移動の必要性
 理解していなければ理解することが難しい技術です。※ 簡単に言えば、OTVはLayer2の延伸技術です。



 ◆ OTVのコンセプト

 OTVの動作を解説する前に、OTVが求められる背景を最初に理解しておくことが重要です。

 ◇ OTVが求められる背景
 ・ 仮想サーバを柔軟に動かすvMotionではLayer2の接続性が必要
 ・ クラスターをデータセンター間で稼働させたいケース

 ◇ OTVの実装ケース
 ・ データセンターの拡張
 ・ 分散型のアクティブ・アクティブなデータセンターの構築
 ・ データセンターの引っ越しに伴うサーバの移行(つまり一時的な実装として利用)

 ◇ OTVの実装により得られる結果
 ・ 
STPなどのL2プロトコルのネットワークワイドでの運用を回避できるため、耐障害性の向上
 ・ 
インテリジェントなMACルーティングで、従来のL2/L3の境界を保存しながらサイト間でVLANを拡張
 ・ 
拠点の追加、削除の際に全拠点のコンフィグを変更する必要がなく容易なサイトの追加と削除ができる


 ※ vMotionとは、稼働中の仮想マシンをマイグレーションするためのソフトウェアであり、Vmware社が
 提供する仮想化ソフトウェアの機能のことです。このvMotionを利用することで物理サーバで稼働している
 仮想マシンを、システム停止することなくシームレスに、異なる物理サーバへ移行させることができます。


 ◆ OTVの動作概要

 下図で「OTVを実装させたNexusスイッチA」でイーサネットフレームが着信すると、NexusスイッチAは
 MACアドレステーブルを参照します。その宛先のMACアドレスが、異なるデータセンターにあるサーバの
 MACアドレスであることが分かると、イーサネットフレームを”IP”でカプセル化します。


   


 データセンターAとデンターセンターB間のネットワークでは、通常のIPルーティングに従い転送をしていき
 OTVを実装させたNexusスイッチBにパケットが到達すると、カプセル化を解除してMACアドレステーブルに
 基づいてEthernetフレームを転送させます。



 ◆ OTVの技術用語


      


OTVの技術用語 説明
Edge Device  ・ サイト(LAN)とコア(WAN)に接続してOTV機能を提供するデバイス
Internal Interface  ・ Edge Deviceのインターフェースでサイト側(LAN)を示すL2インターフェース
Overlay Interface

 ・ 論理マルチアクセスのマルチキャスト対応インターフェース
 Overlay I/Fは、IPユニキャストまたはマルチキャストヘッダーでL2フレームをカプセル化

Join Interface

 ・ Edge Deviceのインターフェースでコア側(WAN)を示すL3インターフェース
 コアのマルチキャストグループに対してJoinを出すインターフェース。このインターフェースの
 IPアドレスはOTVの送信元アドレスとして使用する。




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