Cisco WAAS - TFO / DRE / LZ / AO



 ◆ WAASテクノロジー

 Cisco WAASでは
TFODRELZ圧縮によりTCPの最適化と高速化行い、AO(Application Optimizer)に
 よりアプリケーションの最適化を行い、これらの機能を組み合わせることでWAN高速化を実現しています。

WAASの最適化 使用する機能
TCPの高速化&最適化 TFO / DRE / LZ
アプリケーションの最適化 CIFS AO / MAPI AO / HTTP AO / SSL AO / Video AO / NFS AO


 以降のWAAS技術の解説を読む前に、「帯域の問題」と「遅延の問題」の違いを先ず理解をしましょう。

WAASの最適化 使用する機能
帯域の問題

 トラフィックを伝送できる量の問題。つまり、WANの契約帯域が小さく通信が遅い場合、解決するために
 「WANの契約帯域を大きくする」手法と、「WAN高速化装置を導入する」手法の2つがある。

遅延の問題

 トラフィックの往復時間にかかる時間の問題。拠点間が物理的に距離があり(海外拠点との接続など)、
 遅延(RTT)が大きいことにより通信が遅い場合、解決するためには、「 WAN高速化装置を導入する 」
 ソリューションがある。※ 遅延により通信が遅い場合、契約帯域を大きくしても効果がない場合が多い。


 ※ 日本国内のWAN接続でも例えば 「東京 ⇔ 沖縄」 間は比較的遅延が大きいので、WAN高速化装置の導入が比較的あります。
 ※ 遅延が大きいとWAN帯域を使いきれていない場合があり、遅延を解決することで、効率的にWAN帯域を使用できる場合もある。



 ◆ WAASテクノロジー:TFO機能

 TFO(Transport Flow Optimization)は標準のTCP拡張使用に基づき、TCPアプリの性能限界を超えて
 アプリケーションのスループットを向上させられる。TFO機能に含まれるTCP拡張使用は以下の通りです。

 @ BIC TCP
 BIC (binary increase congestion control) TCPは、輻輳発生時の状態からより迅速に回復できる仕組み。
 これにより送信側のWindowが安定化して、最大Windowサイズでデータ送信の維持が可能となる。TCPの
 データ送信は、送信側Windowと受信側Windowの小さい方が最大送信サイズとして採用されて行われます。

 A Window Scaling
 TCP Windowサイズは通常は65515byteですが、これを2Mbyteまで拡張して、遅延が大きいWAN環境にて
 スループットを向上させる。クライアントやサーバに変更を加えることなく Window Scaling を活用できます。

 B Larger Initial Windows
 TCPコネクションの確立後にMSSサイズ1460byteを、4380byteに拡大することで転送性能を向上させます。
 また、スロースタートが早期に終了するようにすることでよって多くのWAN帯域幅を使用することができます。

 C Selective Acknowledgement
 通常、TCPの再送処理はパケットロスした際に同一のTCP Window内のパケットが全て再送処理されるが、
 この機能ではTCP Window内の損失した最低限のパケットのみ再送を行い、WAN帯域の効率利用が可能です。


     



 ◆ WAASテクノロジー:DRE機能とLZ圧縮

 DRE(Data Redundancy Elimination)は高度なネットワーク圧縮形式で、アプリに依存しない、TCPの
 バイトストリームで過去に認識したデータの履歴をWAASで保持します。将来または現在の伝送で冗長な
 データパターンを排除できるので、WANに送信されるデータ量を削減できます。またコネクション型圧縮
 利益を備えたLZ(Lempel-Ziv)圧縮を実装しておりTCP接続で消費される帯域幅をさらに最小化できます。
 
※ LZ圧縮は単独使用、またはDREと合わせて使用できて、使用アプリケーションと伝送データに基づいて 2:1 〜 5:1 の圧縮を実現。


  



 WAAS version 4.4.1以降では上述のDRE機能は改善されて、ピアごとに持つ必要があったDREキャッシュ
 データが1本化された。ただし、シグネチャ管理についてはピアごとに持ち、検索スピードが損なわれない。


  


 ◆ WAASテクノロジー:CIFS AO機能

 WAASでは特定のアプリごとにAO (Application Optimizer) 機能が存在する。以下ではCIFS AO紹介する。
 CIFS(Common Internet File System)はWindowsファイル共有サービスで利用するプロトコルのSMBを
 拡張してWindows以外のOSやアプリケーションソフトでも利用できるよう仕様を公開したプロトコルであり
 ポート番号にTCP
139とTCP445を使用する。CIFS AO機能ではこのCIFSに対して以下の最適化を行います。
 ⇒ 安全なキャッシングとデータ整合性確認、先読み、予測、非同期書き込み、多重化とパイプライン処理

 CIFSはクライアントとサーバ間でやりとりするCIFSのリクエストコマンド及びレスポンスコマンドが大量
 に発生します。高速で遅延の少ないLANでは問題ありませんが、低速で遅延のあるWANでは共有フォルダの
 ブラウジングやファイルオープンに時間がかかったりして、これをユーザが体感として「遅い」と感じます。

 WAASでは、クライアントとサーバ間でのCIFSコマンドを検査して、実行中の動作を完全に識別することで
 CIFSプロトコルレベル(ファイルとメタデータ)のキャッシュを可能に。CIFSキャッシュはクライアント側
 に設置されたBranch側のWAASでのみキャッシュします。これにより、アクセスしたことのあるファイルへ
 アクセスが発生しても、クライアントから発生するCIFSリクエストの大部分をWAASで応答することができる
 ため、遅延の大きいWANほどこのCIFS AO機能によってWAN高速化と最適化を実感できるようになります。


   



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