WAN - HDLC / PPP



 ◆ WANカプセル化プロトコル - HDLC

 WANカプセル化プロトコルは
HDLCPPP であるという解説がよくありますが、これは専用線、ISDN、
 PSTNなどの回線に当てはまる話です。広域イーサネットの場合
Ethernetです。先ずHDLCを解説します。

 HDLC( High-level Data Link Control )は、シリアルインターフェースで専用線などのポイントツー
 ポイント接続で使用するデータリンク層プロトコル。HDLCは、ISO( 国際標準化機構 )で標準化されて
 いますが、ネットワーク層を識別するフィールドがないため複数のプロトコルを扱えないことからメーカ
 の多くが独自方式をHDLCに実装し、ネットワーク層で複数のプロトコルを使用できるようにしています。


   


 Ciscoルータでは、ISOのHDLCはサポートしておらず、Cisco独自方式のHDLCのみをサポートしています。
 そのため、Ciscoルータと他メーカーのルータとでシリアル回線上で、ポイントツーポイント接続する場合、
 WANプロトコルにHDLCは使用できないので例えば PPP をWANプロトコルとして使用する必要があります。
 なお、Ciscoルータのシリアルインターフェースでカプセル化タイプをHDLCに設定するコマンドは以下です。

 

 現在のシリアルインターフェースのカプセル化を確認するためには show interfaces s0/0 で確認できます。


 ◆ WANカプセル化プロトコル - PPP

 PPP( Point-to-Point Protocol )は、専用線、PSTN、ISDNなどのポイントツーポイント接続で最も
 よく使用されるデータリンク層のプロトコル。PPPはHDLCをベースに開発されていますが、PPPの場合
 プロトコルフィールドが設けられているのでIP、IPXなど複数のプロトコルを使用した環境をサポート
 します。また、PPPはオプションとして
認証圧縮マルチリンクエラー制御をサポートしています。


   



 PPPは
LCP (Link Control Protocol) と NCP(Network Control Protocol)の2つから構成されています。
 LCP(リンク制御プロトコル)はリンク確立、維持、切断処理をします。その他4つオプションがあります。

 NCP(ネットワーク制御プロトコル)は、ネットワーク層プロトコルを識別するためのタイプフィールドを
 持っており、ネットワーク層がIPなら
IPCP、IPXならIPXCPをNCPとして使用し通信の開始、終了をします。
 PPPの接続は、@LCPにおけるリンクの確立 A認証(認証がある場合)BNCPにおける接続の確立の順です。

     

LCP
オプション
使用するプロトコル 説明
認証 PAP、CHAP

 PPPで接続要求を行ってきたデバイスのユーザ名とパスワードを確認して事前に登録
 した正しい情報であれば認証を成功しPPPリンクを確立させる。ユーザ名とパスワード
 情報はPAPではクリアテキスト(暗号化されない)、CHAPでは暗号化して送信される。

圧縮 Predictor、Stac、MPPC

 データ圧縮でデータ量を少なくすることができるので低速なWANリンクでも効率的
 に通信することができるが、圧縮による問題点も多くある。一般的には使用しない。

マルチリンク multi-link protocol  デバイス間での複数の並行するPPPリンクを1つの論理的なリンクとして使用できる。
エラー検出 Quality、MagicNumber  QualityとMagicNumberで、PPPリンクのエラーを検出しデータリンク品質を高める。


 最後に、PPPのリンク確立フェーズ後に実行できる認証プロトコルである
PAP/CHAPを詳しく見てみます。

 PAPでは、認証される側のクライアントからユーザ名とパスワードを、認証する側のアクセスサーバに送り
 その情報をもとにアクセスサーバ側に登録されたデータベース(ユーザ名とパスワードの情報)と照合して
 認証を行う2ウェイハンドシェイクの方式を採用しています。認証の流れをルータ間の接続で見てみましょう。


  




 CHAPでは、下図のようにチャレンジ(乱数文字列)とパスワードとでハッシュ値を求めて送信することから
 PAPのようにクリアテキストのままパスワードを送信したりしません。CHAPは3ウェイハンドシェイクです。


  



 以下は、CiscoルータでPPPリンク確立時のCHAPによる
相互認証のためのコンフィグレーション設定です。
 CHAP認証を設定の上で必須の設定事項は、@ホスト名 Aカプセル化タイプ(ppp)B認証タイプ(chap)
 C 認証情報のユーザ名(接続先ルータのホスト名)、パスワード(両方のルータとで同じパスワード)です。


  


 ステータスはshow interfaces serial0/0で確認できて、動作検証はdebug ppp authenticationで確認可能。



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